捻挫でお困りの方

みなさんは捻挫をした時にどのような処置・治療を行っていますか?
最近、みなさんの生活に浸透してきていますが、“RICE”処置が大切を言われています。
RICE処置とは、捻挫後の処置方法の頭文字をとって解りやすくしたものです。
R:Rest(安静)
I:Ice(冷却)
C:Compression(圧迫)
E:Elevation(拳上)

 

この処置を急性期(怪我してすぐ)に行うことでその後の回復が変わってくると言われています。
スポーツ現場においての早急な対応がその後の選手のスポーツ活動に影響を与えてきます。
是非、捻挫の方がいた場合は、RICE処置と病院への受診の手順を覚えてもらえたら嬉しく思います。。

 

ですが、捻挫後の処置をしたからと言って元通りの動きができるとは限りません。
足関節の捻挫後の後遺症という視点から次に説明させていただきます。

 

軽い捻挫と思っていませんか?

“捻挫”と言われると軽い怪我と思う方がいるかもしれませんが、実際には捻挫の後にはさまざまな機能低下がみられることがあります。
捻挫といってもさまざまな状態があり、靭帯損傷や剥離骨折などがあります。
よく耳にするのは、前距腓靭帯損傷と言われる怪我が多いです。


靭帯の役割としては、①関節の安定化、②関節運動の誘導、③過度の運動に対する制動、④関節の固有知覚のセンサーと言われており、靭帯を痛めてしまうと関節が不安定になり、動き出しが悪くなったり、バランスの反応が遅れてしまったりとスポーツ選手にとっては悪影響が大きいです。

 

例えば、上の選手のように片脚バランスなどの簡単な運動であっても、身体のバランスが崩れてしまうことを多く見受けられます。
捻挫が軽いと思わず、しっかりとした身体状態に回復させるようなリハビリ・治療を受けることが大切かと思います。

 

捻挫後の完全復帰への道のり

 表 スポーツ復帰の現状

  2011年 2014年
スポーツ復帰 82% 81%
受傷前のレベルのスポーツ復帰 63% 65%
競技レベルのスポーツ復帰 44% 55%

(文献より)

この表は捻挫などのケガによりどのくらいのレベルまで復帰することができたのかを調査したデータになります。この結果では、8割ほどの方々はスポーツ復帰ができたかもしれませんが、怪我する前の状態までのパフォーマンスに戻ることができるのは、半分近くの選手になってしまっているという結果です。
つまり、ケガをした後にしっかりとしたトレーニングをすることが復帰に繋がり、ケガをしないような予防的なトレーニングが競技力を高めていくことに大切になってくるということです。

 

インソール療法の視点での問題点

今回、当院に来院する患者様の中で多く見受けられる問題点として、
走り(ダッシュ・ランニング・ジョギング)
ジャンプ(着地と跳躍)

片脚バランス

について焦点を絞ってお伝えさせていただきます。

 

走り(ダッシュ・ランニング・ジョギング)

スポーツにおいて、素早く動き、疲れにくく、力強く動けることは競技力として大切になってきます。
素早く動けたり、力強く動けたりするためには、姿勢の安定性がポイントとなります。
しかし、捻挫後の場合はその姿勢が崩れやすくなり、パフォーマンスが十分に発揮できない状態に陥ることにもつながっていきます。
走る姿勢の崩れとして、多く観察される動き方として、足首が外に開いてしまうこと骨盤が水平に保てていないこと上半身の左右の振れが大きくなっていることなどがみられます。
このような方には、足首がしっかりと安定し、重心を真っ直ぐかけられるように誘導することで骨盤や上半身が連動して真っ直ぐに修正されてくる場合が多いです。
足首の捻挫後の不安定性を改善することがポイントかと思います。

この選手も足首の安定性を高めることで、姿勢が改善され、二次的に生じた腰痛や足首の痛みも軽減し、スポーツ復帰をすることができました。

 

ジャンプでの体幹の動揺

バレーやバスケットボールなどジャンプ動作が多い種目では、安定したジャンプが競技力だけでなく、ケガ予防にも大きく影響します。その点についてまとめていきます。
捻挫すると、足に力が入りにくくなるだけでなく、体重が加わった時に筋肉の反応が遅くなり、力の伝達が悪くなってしまいます。また、足首には力が入りやすい関節の位置がありますが、捻挫後にはその関節の位置から外れやすくなってしまい、バランスが崩れてしまいます。
下の図の選手であれば、左足の踏ん張り・上に持ち上がる力を左肩や上半身で代償するため、背骨が曲がった姿勢になりやすくなります。この状態でバレーやバスケットボールを続けると、右肩が上がりにくくなり、肩を痛めたり、腰痛を引き起こしてしまったりすることがあります。

このような選手には、足首に力が入りやすい関節の位置に戻すようインソールで調節し、上半身に効率よく力が伝わるように制御させます。インソールでジャンプ動作を改善するように作製することがあります。

 

③片脚バランス

運動不足の方やご高齢の方によくみられるのは片脚バランスが不安定になっていることがあります。そうなってくると、転びやすくなったり膝を痛めたりする可能性が高くなってきます。

また、運動をしている学生さんやスポーツ選手では、片脚でのバランスが崩れると、膝の靭帯損傷や半月板のケガに繋がりやすいと言われており、スポーツ現場では片脚立ちのテストはケガの危険信号を見つけるサインとして非常に有効とされています。

つまり、片脚立ちが不安定な方は、転びやすく、ケガしやすいので、注意が必要になります。

 

このような選手の場合には、外側への重心を制御するようにインソールを作製します。外側へのブレーキ作用が強くなることで、左右の切り返しや歩き始めのスムーズさを作り出すことがインソールの目的になります。

 

最後に一言…

足首の捻挫は身体のバランスを崩す怪我として、非常に身近で危険なものとして感じます。

痛みはないけど動き方がおかしい以前までの動きが出せないなど、身体の違和感を感じるようでしたら当院まで気軽に当院までお越しください。
少しでも、捻挫によって困る生活から皆さんを解放できるよう日々精進していますので、安心してご相談ください。

また、捻挫後でのインソールを作製したい方は、当院まで来院していただき、受付スタッフに「インソールを作りたい」とお伝えください。当日でも対応させていただきます。

 

最後まで読んで下さりありがとうございます。

 

 

2019年01月23日